天中殺、大殺界など



天中殺、大殺界(六星占術)、0星占術など。色々名前は違いますが、
これらはみんな、四柱推命の中の 空亡くうぼうという 一部分だけを拡大解釈したものです。
凶の原因を何でも空亡で片づけるという、非常に乱暴なものです。



全体の一部分を借用した占い

西洋占星術や四柱推命など、非常に歴史があり奥深く判断ポイントが沢山ある占いの場合、
その中の一部分だけを取り上げても、何とか占いとしてまとまるものです。
占い師や研究者の中には、他の人が着目していない点を取り上げて、
新しい占いを作ろうとする人もいます。
より平易でポピュラーな占いを作りたいのか、または功名心なのか、どちらかは解りませんが。

西洋占星術にしても四柱推命にしても、本来は鑑定するのに出生時間を必要としますが、
自分の出生時間を知らない人がやはり多いです。
(母子手帳、母親の記憶、役場の戸籍課に行って出生証明書を取り寄せる、などで調べます)
また、鑑定には、高度な複合的判断と熟練を要します。
出生時間が不明の場合はなおの事、職人的な勘と技術を要します。
お客さんが、あまり考えずより簡単に結果の解る占いを求めている、
マスメディアに占いが登場するようになって、出来るだけ多くの人に当てはまるよう、
占い本占い雑誌の編集者が、簡略化した占いや、または新しい切り口の占いを求めている、
という背景もあるでしょう。


そもそも空亡(くうぼう)とは

干支かんしはそれぞれ、 二つずつの「空亡となる支」に対応しています。
生まれた日の干支から求めたものが、一般に重要視されます。
ちなみに他にも、生年の干支や生月の干支などから求めるものもあります。
甲子きのえね日生まれの人なら戌と亥、 丙午ひのえうま日生まれなら寅と卯、が空亡に当たります。

本来の意味は読んで字の通リ、 「空しく亡ぶ」または「消える」というものです。
ですから、消えて悪くなる場合と良くなる場合と両方存在します。
また、その他の諸条件によってけっこう簡単に効力が出たり消えたりするものです。
カタブツで異性に縁のなかった人が、自分の空亡にあたる年や月に、
自分の殻を破って異性との付き合いを始める事もあります。
また、芸能人では、自分の空亡にあたる年(=天中殺の年)に大ブレイクする事も多いそうです。
これらは、「今まで自分にはめていた型」が消えるという、 いい意味での空亡の効果でしょう。

※ちなみに私自身は、自分の空亡にあたる年に、現在の仕事に就きました。
 それまでは、「占いを商売にしてはいけない、自分の未熟な腕でお金を取ってはいけない」と
 長年思い込んでいました。

むしろ四柱推命の―番の基本は、
五行(木火土金水)の五つのバランスを見る所にあります。 (他の記事で述べます)
それを踏まえて、その人にとって何が吉で何が凶かを押さえた上でないと、
空亡の働きが良く出るか悪く出るかは解らないものです。


「絶対的な凶」を設定している占い

空亡に限らず、占いの種類/占い師の解釈によっては、
ある特定の星や配置などを「絶対的な凶」と見なしているものがあります。
正直言ってこれは、非常に安直・乱暴で、人々をやみくもに不安に陥れるだけの、
有害無益なものと言わざるを得ません。
吉と凶の考え方すら、占われる一人一人によって違ってきますし、
そうそう簡単に吉凶が割り出せるほど、占いは甘くはありません。

研究/実占の地道な積み重ね、社会情勢などの冷徹な観察、
判断の際に占い師が私利私欲や私見私情に惑わされない事、
そして、占い師が自分自身の人生をどのように過ごしているか。
鑑定にあたっては、その全てが問われるものです。


補足・動物占いについて

空亡の他にも、動物占いのように、 生まれた日の干と支の組み合わせで占うものも多いようです。
四柱推命の中には「十二運」と言って、
この干にこの支が組み合わさると○○、という12パターンがありますが、
動物占いの12キャラは、この十二運を応用したものです。
例えば、丙寅ひのえとら、 丁酉ひのととり、 戊寅つちのえとら、 己酉つちのととり、 壬申みずのえさる、 癸卯みずのとう
これらは皆「長生」ちょうせいと呼ばれる組み合わせですが、
これらの日に生まれた人は、動物占いでは「猿」に当たります。

本来の四柱推命に比べれば物足りない部分は多いものの、動物占いの良い所は、
従来の占いのように、「人を使う人は吉、人に使われる人は凶」などと、
何でも吉凶で片付けようとしない所、それぞれのキャラの違いを大事な個性と見なす所、
古い教則本を全て鵜呑みにするのではなく
実際に集めた多くのデータと組み合わせて作り上げた所、などが挙げられるでしょう。
むしろこれは、本当はどんな占いに携わる人間にも必要な、尊敬すべき姿勢でしょう。



結び

私個人としては、気軽に使える占いや遊びの占いを、決して否定するものではありません。
ただしそれらは、遊びの場や気分転換、占いに興味を持つ糸口、
自分を客観視する訓練などには適しますが、
人生上の重要な選択の場面などでは、本格的な占いにとって代われるものではないのです。
一生を左右する大事な場面での占いまでをも、簡略な占いで片付けようとする事、
それはやはり、大変に危険であると言わざるを得ません。

(2001-09-23)



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命式の作り方
・天中殺、大殺界など

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