今まで何人かのお客さんから、「占い師を目指している」という相談を受けました。
その中には、私と出会ってから目指すようになったという人もいます。
しかし正直な所、大丈夫だと思える人は少なかったです。
占い師になるには、調理師や教員のような免許は要りません。
自分で「私は占い師です」と名乗ってしまえば、もうその日からその人は占い師です。
ちなみに、「プロになる事」よりももっと難しいのは、「プロであり続ける事」の方でしょう。
まずは占いを勉強する事。学校に行っても先生に付いても独学でも、何でも構いません。
実際に仕事をするには、今なら色んな方法があるでしょう。
街中の易者のように、どこかで小さい机を広げるも良し、
自分のHPを作ってそこでお客さんを募集するも良し。
いわゆる「占いの館」のような対面鑑定の占い師の集まる店や、電話占いの会社に、
占い師として応募するのも良いでしょう。
対面鑑定や電話占いなどの、「会社勤めの占い師」となるに当たっては、
そこの人事担当(?)の人の、オーディションを受ける場合が一般的です。
]
良心的な会社なら、占いの実力以上に、「話した時の感じの良さ」がポイントになるようです。
そういう人なら、実際に仕事をする中で、占い技術も後からどんどん伸ばして行けるからです。
反対に、どんなに占いの経験や実力があっても、
話した時にイヤな感じ、冷たい感じ、頼りなさ等を感じさせる人、
人の話を聞く姿勢のない人、自分の話ばかりをしたがる人(自分がお客様のつもりの人)は、
なかなか受からないようです。
実際、そういう人がもし採用されたとしても、あまり人気はないようですし、長続きもしないようです。
以前TVで、対面型の占い師のオーディションの場面がありました。
同じ一人のお客さんを占っていました。(片思いの相談)
一人目の占い師は、かなり占いの勉強を積んだらしい人で、
「こういう傾向がありますね」とただ淡々と語るだけでした。
二人目の占い師は、占っていきなり
「(あなたの姿勢がそんなんじゃ)ダメだよぉー!
あなた最初から自分で無理だと思い込んでるでしょー!」と
お客さんに自信を持ってもらうべく、優しくかつ熱い説得をしていました。
結果、一人目の占い師は不合格、二人目の占い師は合格でした。
ある程度の占いの勉強も必要でしょうが、
むしろ最も必要なのは、「思いやりと謙虚さ」、これに尽きるでしょう。
占い師は、研究者でも評論家でも、演説をする人でもありません。
悩んでいる人の話を聞いてあげ、一緒に考えて解決の方向を一緒に見いだしてあげる人、
普段以上に不安定な状態のお客さんにとって、「頼りになる存在」でなけれればならないのです。
相手に対して親身になれる人ならば、例え占いの技術が未熟であっても、
客のためとなれば後から必死で勉強するでしょうし、結果としてみんなからも信頼される事でしょう。
反対に、霊感はあってもなくても構いません。
「この人のこの悩みは、一体どうすればいいんだろう?」という
強い一念を持てる人(=思いやりの強い人)であれば、必ず霊感直感は湧いてきます。
また、人生経験や苦労した体験も、あってもなくてもどちらでも良いでしょう。
若くても年配でも、どちらでも構いません。
どんなに人生経験を積んだと言っても、人間一人に出来る経験には、限界があります。
また、「Aの経験をしたという事は、Bの経験をしなかったという事」という場合もあります。
暖かい家庭に生まれ育つ事と、冷たい家庭に生まれ育つ事は、
一人で両方経験出来るものではありません。
むしろ、生半可な苦労を鼻にかける占い師の場合は、かえって傲慢になりやすいようです。
そんな風になるぐらいなら、自分自身に苦労の経験がなくても
一生懸命客の話を聞いて考えられる人の方が、かえって頼りになります。
また、自分自身が今現在、何か深刻な悩みを抱えていても構いません。
どんなに悩んでいても、それを客観視する目さえ持っていれば大丈夫です。
「自分の悩みすら解決出来ないのに、人の悩みの力になどなれるだろうか?」と
思う人も多いでしょうが、そんな事を言ってたら、どんな人間だって一生占い師になれません。
「自分が大変だから、人の相談に乗れる訳がない」と
反論する人もよくいますが、それは単なる言い訳でしょう。
そういう人は、どんなに悩みがなくても、何だかんだと「出来ない理由」を探し続けるものです。
どんなに自分が大変でも、他の人の事を考える人間は考えるのです。
むしろ、自分に悩みがあっても、それをさておいて必死に相手の事を考えている内に、
自分自身の悩みもいつの間にか解決しいてる/ラクになっているものです。
占い師を目指すなら、きっとどんな人でも、「自分なんかに出来るだろうか?」と悩む時があるでしょう。
まるで、この手の仕事で何の苦もなくスイスイと能力を発揮していける「特別な人」が
どこかに居るかのように思っているのかも知れませんが、
結論から言いますと、そんな人などどこにもいません。
自分の無力に悩む、自分の無力におびえるのは、きっと皆同じだと思います。
かく言う私も、この仕事に就いて3年5ヶ月の間、
仕事をするのが恐くなかった日は、ただの一日もなかったです。
結婚した経験のない人は、「自分なんかに結婚生活の何が解るんだろうか?」と、
早くして結婚した人は、「ずっと独りで年をとり続ける気持ちが自分に解るだろうか?」と、
若い人なら「こんな人生経験も少ないのに何が出来るんだろうか?」と、
片や年を取った人は「もう自分の頃とは時代が変わってる、自分の経験が通用しない」と、
それぞれに悩みます。
自分の能力の限界を超えるケースには、どんな占い師でもブチ当たるものです。
そこであきらめる人(かんしゃくを起こす、お客さんに逆ギレする、自分がパニックになる等)と、
あきらめない人がいる、というだけの話です。
もう後は、現場に入ってからの出たトコ勝負でしょう。
「この場合この人には何が必要か?」
相手の立場に立って考え続けていれば、必ず何か方策は見えて来ます。
手に職をつけたい、一生出来る仕事がしたい、趣味で食べて行きたい、など、
ハッキリ言って自分の勝手な都合による動機「しか」持てない人にとっては、
この仕事、ただの「苛酷で実入りの少ない仕事」でしかないでしょうし、
客からも信頼されなくて(=収入も少なくて)当然でしょう。
客のために占い師がいるのです。占い師の生活のために客がいるのではありません。
お客さんは、占い師の生活のために「占われてあげに」来てる訳ではないのです。
今のご時世、お客さんだって、お金を払う事は決してラクではない筈です。
もしも料金体系が変えられないとしても、その額の何倍もの価値のある仕事をすればいいだけです。
一杯350円でも高いと思わせるラーメン屋もあれば、
このご時世なのに一杯1000円でも安いと思わせる、行列の出来るラーメン屋もあります。
高いからお客さんが寄り付かないのではありません。
値段の割に中身がないから寄り付かないだけの話です。
ここの所をカン違いしてる人が余りにも多いです。
私が思うに占い師とは、水商売・人気商売であり、社会福祉的な仕事であり、
ヒーラー(ヒーリングをする人)であり、教育者でもあり、サービス業でもあります。
今まで「どうせ自分はダメなんだ」と何でもあきらめ続けてきた人が、
何十回か話し続ける中で、「やっぱり頑張ってみよう」と思い直して、
彼に会いに行ったり、自己破産の申請に行ったり、勉強を頑張って試験に合格したりした時は、
もう、ボロボロボロボロ泣きます。
(ちなみに、行動した結果がどうであっても、嬉しさには変わりありません)
これを一度でも味わった人間には、もう占い師は辞められません。
そういう、占い師としての一番の喜びを味わえる人、
是非味わってみたいという強い気持ちを持てる人なら、
この仕事は、どんなに辛くてものたうち回っても、必ずやり甲斐を与えてくれるものです。Good luck!
(2001-09-24)