いくつかの公式を覚えれば、ホロスコープ作りは決して難しくありません。
基本となるのは、単純な比例計算ばかりです。
必要な公式は★付き・赤い枠囲い。
(特に重要な公式は★★付き・太枠囲い)
なお、ホロスコープを入手したい時
のページも合わせてお読み下さい。
必要な出生データは、
生年月日/出生時刻/出生地 の三つです。
おおよその流れは、下準備プラス三つのパートに分けられるでしょう。
ここでは基本的に、日本版の天文暦
(=日本時間午前0時の毎日の星の位置が載っているもの)
が手許にあるものとして話を進めますが、なければ入門書でも結構です。
また、占い雑誌の特集で、ホロスコープの作り方が載る時もあります。
1979年8月6日午後2時55分広島市生まれの女優・ 奥菜恵(おきな・めぐみ)さんの例を、並記しながら進めます。
出生時間が漠然としている場合は、その中間を取ります。
(例えば09時〜09時30分生まれなら、09時15分)
出生時間が解らない場合は、惑星の位置の誤差が最も少ない時刻である正午の生まれとしますが、
その場合は、アセンダントや各室の意味はアテにならなくなります。
なお、サマータイムと日付表記の注意 も合わせてご覧下さい。
または、このHPの 全市町村の時差/経度/緯度 のページから、
該当する場所(または最も近い場所)の経度/緯度と時差を選んでおきます。
「出生時刻の分以下を小数点表示にしたもの」を、
(=分(mm)を60で割って時(hh)に足す)
その人専用の『定数T』として設定しておくと、後々便利です。
小数点以下は、3ケタもあれば十分でしょう。
これだけあれば、月(=最も動きの速い星)の度分まで正確に出せます。
(09:30ならT=9.5、 20:40ならT=20.667 等。)
なお、簡略版の場合、分までは求めず度まで出すなら、小数点以下四捨五入で結構です。
定数T= 時(x) +分(y)÷60 |
例) 奥菜さんの出生データより 0-2. 午後2時55分= 14:55 0-3. 広島市= E132°27′N34°23′ 時差は−10分。 0-4. 定数T= 14+(55÷60)≒ 14.917 |
「その日の午前0時からT時間たった時に生まれたよ」
これが定数Tの意味です。
(例えば00:30生まれなら、0.5時間たった時)
T/24 (24分のT)は
「24時間の中で、T時間の進んだ割合」を示します。
(例えば12:00なら、ちょうど2分の1)
従って、一日の変化量に
T/24 (24分のT)
をかけたものが、
「当日午前0時から出生時刻までに動いた量」となります。
これは、以降出て来る比例計算の根幹をなす大事な概念です。
それを「当日午前0時の位置(度数)」に加えれば、
出生時刻での位置(度数)が出る訳です。
出生時刻での位置(度数)= 当日午前0時の位置(度数) + 一日の変化量×T÷24 |
パート2-1に出て来る『惑星の位置を求める公式』も、
これと全く同じ原理です。
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「全体の流れ」(ページの初め)へ↑
下準備はここまで♪
地方恒星時 Local Sidereal Time (LST) を求める正式な公式です。
入門書に載っている方法は、これを簡略化したものです。
時 (hh) |
: | 分 (mm) |
: | 秒 (ss) | ||
A=(標準)恒星時 | AA | : | AA | : | AA | |
B=出生時刻 | BB | : | BB | : | ||
C=明石市との時差 | ± | : | CC | : | CC | |
D=時間の加速度 | : | : | DD | |||
────────── | ||||||
L=総計・地方恒星時 | LL | : | LL | : | LL |
A=恒星時 Sidereal Time
天文暦で生まれた年月日の所に載っているもの(時分秒)を、そのまま記入します。
簡略版(入門書)の場合は、「各年共通の平均恒星時」から、
該当するもの(時分)を記入します。
B=出生時刻(24時間制)
明石市との時差=(生まれた所の経度−135)×4(分) |
兵庫県明石市(日本時間の基準・東経135度)と何分の時差があるか
明石市よりも東側にある場合はプラス、西側にある場合はマイナスになります。
経度が解らない場合は、
全国主要都市の時差 の表から、
出生地に経度が(=東西方向に)最も近い都市のもの
を代わりに記入します。この表は入門書にも載っています。
時間の加速度= 定数T×10(秒) |
「その日の00時から生まれた時刻までに、恒星時がどれほど進んだか」を表します。
これを上の数式の秒の位に記入します。
簡略版では省略して結構です。
L=地方恒星時 (A〜Dの総計)
合計した後、時(hh)が24時間を越えた場合は、そこから24時間を引きます。
なお、当然ながら、60分を越えると1時間、60秒を越えると1分繰り上がります。
例)1-1. 奥菜さんの地方恒星時 D= 定数T×10= 14.917×10≒149(秒)
∴地方恒星時は 11:41:45 となる。 |
生まれた場所に
緯度が(=南北方向に)最も近い所の室項表を選び、
その中から地方恒星時が最も近いものを探します。
緯度ごとに分かれた室項表の本がない場合は、
入門書にある東京(北緯35度39分)の室項表の中から、地方恒星時が最も近いものを探します。
例)1-2. 前半 ラファエルの室項表 の本に載っているのは、 「Bagdad N33°20′」、「Cabul N34°30′」、「 Tokio N35°39′」。 N34°23′の広島市に緯度が最も近い「Cabul N34°30′」を選びます。 (このケースなら、入門書にある東京の室項表でも良いかも) Cabulの室項表に載っているのは、 …、「11:37:58」、「11:41:39」、「11:45:19」、…。 奥菜さんの地方恒星時 11:41:45 に最も近い「11:41:39」を選びます。 |
第10室〜第3室のカスプはそのまま、
表に載っていない第4室〜第9室のカスプは、
その正反対の室の、
度数はそのままで星座を正反対のものに取り替えます。
例)1-2. 後半 Cabul N34°30′の室項表の 11:41:39 より、 奥菜さんの各室のカスプ; 第10室─25度 第4室─25度 第11室─25度 第5室─25度 第12室─19度 第6室─19度 第1室─10度49分 第7室─10度49分 第2室─13度 第8室─13度 第3室─19度 第9室─19度 |
入門書では、コピーして使えるよう、
1度ずつの目盛りの付いたホロスコープ用紙が付録に付いて来る事もあります。
なければ、円をケーキ状に12等分した図を手書きしても良いでしょう。
第1室カスプの星座と度数を一番左側に、 以下の室を反時計回りに記入して行きます。
例)1-3. 奥菜さんのホロスコープ、 各室カスプの星座と度数を書き込んだ所 |
各室のカスプを書き出した時に、全く出て来ない星座と二回出て来る星座がある場合もあります。
出て来ない星座の方を、「挟まれた星座」 intercepted sign と呼びます。
この「挟まれた星座」も、図には記入します。
例; 東京 N35°39′の室項表 23:04:46 より このように、 表にはなかったおうし座と さそり座も記入します。 |
各惑星の一日に進行した度数を求め、
それに T/24
(24分のT) をかけたものを、
生まれた当日午前0時の惑星の度数に足します。
惑星が逆行する場合、(B−A)はマイナスとなります。
なお、簡略版の場合は、分を省略して度だけを出しても構いません。
生まれた当日午前0時の惑星の度数をA、 翌日午前0時の度数をBとするなら、 (星座が同じなら) 惑星の位置= A+(B−A)×定数T÷24 |
当日午前0時と翌日午前0時で星座が違う場合は、
(当日か翌日かは関係なく)前の星座に基準を揃えて、
後の星座の度数に30をプラスしてから計算します。
例) 当日午前0時の位置がみずがめ座22度22分、
翌日午前0時がうお座07度31分なら、
みずがめ座に基準を揃えると、
うお座07度31分はみずがめ座37度31分となります。
以降の計算は、星座が同じ時と変わりません。
例) 当日午前0時がいて座01度09分、
翌日午前0時がさそり座29度50分(逆行)なら、
さそり座に基準を揃えると、
いて座01度09分はさそり座31度09分となります。
従って、一日に進行した度数は、
(B−A)=(29度50分−31度09分)=
−2度+41分=
−01度19分 (マイナスの値)となります。
以降の計算は、同じ要領です。
なお、計算の結果、度数が30度を超えた場合は、度数から30を引いて星座を一つ前に進めます。
(計算結果がみずがめ座32度20分なら、
うお座02度20分となる)
例)2-1. 奥菜さんの各惑星の位置を求める 太陽の位置 1979年8月6日午前0時─ 12°36′(=しし座12度36分) 1979年8月7日午前0時─ 13°34′ 公式より、 12°36′+(13°34′−12°36′)×14.917÷24 =12°36′+ 00°58′×14.917÷24 =12°36′+ 00°36′(←分の小数点以下は四捨五入) =12°72′ =13°12′ (←分から60を引いて1度繰り上げ) 奥菜さんの太陽の位置は、 13°12′ 月の位置 1979年8月6日午前0時─ 07°34′ 1979年8月7日午前0時─ 22°15′ 07°34′+(22°15′−07°34′)×14.917÷24 =07°34′+14°41′×14.917÷24 =07°34′+00°881′×14.917÷24 (←14×60+41=881) =07°34′+00°548′ =07°34′+09°08′(←60×9=540なので、分から540を引いて9度繰り上げ) =16°42′ 月の位置は、16°42′ 水星の位置 1979年8月6日午前0時─ 04°41′ 1979年8月7日午前0時─ 04°11′ (逆行) 04°41′+(04°11′−04°41′)×14.917÷24 =04°41′+(−00°30′)×14.917÷24 =04°41′−00°19′ =04°22′ 水星の位置は、 04°22′R ※逆行する惑星にはRを付ける 以下同じ要領で、 金星- 06°40′ 火星- 28°28′ 木星- 18°29′ 土星- 12°57′ 天王星- 17°02′ 海王星- 17°54′ R 冥王星- 16°51′ ドラゴンヘッド- 09°43′ ドラゴンテイルは自動的に 09°43′となる。 ※多くの天文暦に載っているドラゴンヘッド・テイルは、 Mean(平均の)ノードと呼ばれるもので、常に逆行します。 なので特にRマークを付ける必要はありません。 一部の天文暦には Trueノードが載っていますが、それが順行する場合は Dマークを付けます。 |
出した惑星の星座と度数を、図に書き込みます。
円の外側から内側に向かって、惑星・度・星座・分・(逆行マーク) と書いて行きます。
例)2-2. 奥菜さんのホロスコープ、 各惑星の星座と度分を書き込んだ所 |
※座相の種類・一覧表 も合わせてご覧下さい。
太陽と月、太陽と水星、・・・と惑星を二つずつ組み合わせて、
その二つの角度が、ある特定の角度に当てはまるかどうかを調べます。
また、惑星とドラゴンヘッド、
惑星(ドラゴンヘッド)とアセンダント、
惑星(ドラゴンヘッド)とMC も調べます。
下のような表を作って記入して行くと便利でしょう。
|
左の例は、 月と金星が トリン(120度)、 金星と土星が スクエア(90度)となる場合。 |
座相のオーブ(誤差の許容度)は、その座相が
接近(正確な角度をこれから作ろうとしている所)なのか
分離(正確な角度を作り終わって離れようとしている所)なのかで違ってきます。
惑星の速度はどちらが速いか、逆行はしてないか等に注意して、どちらなのか判別して下さい。
また、太陽が作る座相ならびに月が作る座相は、
他の惑星どうしが作る座相よりもオーブが広くなります。
なお、簡略版の場合、座相は第一種
(0度、
180度、
120度、
90度、
60度)のみとし、
オーブは接近/分離の区別や惑星の種類を考えず、
一律8度(ただし60度のみ5度)
としても構いません。
例)3-1. 奥菜さんの惑星の座相を求める。
チェックする座相は、 0度、 30度、 45度、 60度、 72度、 90度、 120度、 135度、 150度、 180度。 太陽13°12′と 月16°42′の角度は、 30° ×5+16°42′−13°12′=153°30′ 150度の可能性。 この場合は正確な150度から月が離れていく形なので、分離となる。 太陽の作る第二種座相のオーブは分離なら4度なので、オーブの範囲内。 よって、インコンジャンクト(150度)となる。 太陽13°12′と 水星04°22′ R 13°12′−04°22′=08°50′ オーブ9度弱の合(0度) |
座相が解りやすくなるよう、ホロスコープ内で座相のある惑星に、線を引いて行きます。
(なくても構いません)
吉角(60度、120度など)は赤で・
凶角(90度、180度など)は黒で記入する、
第一種座相(60度、90度など)は実線で・
第二種座相(30度、45度など)は点線で記入する、
などとされていますが、ご自身の解りやすい色/線種でけっこうです。
例)3-2. 奥菜さんのホロスコープ、 座相の線を書き込んだ所 ※惑星どうしの第一種座相のみ 0度は緑の線、吉角は赤線、凶角は青線 |
パート3初めへ↑
「全体の流れ」へ↑
パート3おしまい、これで完成です。
こんぐらっちゅれいしょーん♪
♪♪
(2002-02-23) ※2015-03-12、細部の訂正加筆